奈良在住の私がお伝えします
奈良公園の「鹿寄せ(しかよせ)」とは?
奈良といえば「鹿」。
奈良公園周辺では鹿がいたるところにいて、お土産も絶賛鹿推し。鹿がいなければ観光客の数はもっと少ないのではないかと勘繰ってしまいます。とくに、小さなお子さんや修学旅行生に人気ですよね。
そんな鹿が、群れをなして駆け寄ってくる様を目の当たりにできるイベントが「鹿寄せ(しかよせ)」です。
読んで字のごとく、ナチュラルホルンの音色で鹿を呼び寄せる奈良の風物詩。明治時代の1892年にラッパで鹿を集めたことが始まりとなったそうです。通常はベートーベンの交響曲「田園」を演奏すると、音色に呼び寄せられるがごとく数十頭の鹿が集まってきます。
年に数回実施されていて、12月上旬、2月上旬から3月上旬、7月下旬から8月中旬に開催されています。コロナで中止のこともあったようですが、今は復活し12月上旬の鹿寄せに参加してきました。
「鹿寄せ」が行われる時間と場所
場所: 春日大社境内 飛火野(春日大社参道南側)
時間:10時~(約20分)
春日大社の参道を進んでいけば、右手に開けた広場が見えてきます。
人が大勢集まっているところです。ホルンを吹き、鹿が集まってくるタイミングが見どころなので始まる前に到着しているようにした方が楽しめます。
参加申し込みは基本不要・料金は無料
「鹿寄せ」を見学するのは基本的に無料です。事前申し込みも不要です。
「基本的に」というのは、時間指定で有料イベントとして受け付けてもいるからです。主に宿泊客向けだと思いますが、1回21,000円で個別に行う鹿寄せも設定されています。
観光案内所なんかにおいてあるチラシでは、宿泊者限定・有料などとあるのでごっちゃになり混乱してしまう方もいらっしゃるかも。
私が見物した日は、無料の「観光キャンペーン」扱いの回でした。ただ、宿泊者の方は、終了後にプレゼントがあるらしく、券との引き換えをアナウンスしていました。
「鹿寄せ」は誰が何のために行っている?
「鹿寄せ」を行っているのは、奈良の鹿愛護会。国の天然記念物である鹿の保護活動を継続的に行っています。鹿寄せの会場の奥にある「鹿園」では怪我した鹿や小鹿を保護するという活動もなさっているとか。
「鹿寄せ」の収益も保護活動に活用されるそうです。鹿寄せの終わりには、募金箱で寄付を呼びかけられていました。わずかですが寄付したら、かわいいシールもいただけました。
観光キャンペーンとして主催するのは、観光協会だったり旅館組合だったりするようですが、公でやっているものなので安心して参加できます。
ホルンの音色に鹿が誘われる理由
明治のころに初めて鹿寄せを行った際には、ラッパを使っていたとか。その後戦争で中断していたのが再開されたときに、ラッパからホルンに楽器が変わりました。
たまたま手元にホルンがあったからなのかどうかは定かではありませんが、ホルンの音色が広々とした飛火野に響く雰囲気はなんとものどかで牧歌的。奈良が好きなのはこういうところ。なんとなくジブリみも感じます。
鹿寄せで与えているのは「どんぐり」
集まってきた鹿に与えているのはどんぐり。
奈良公園の敷地内にもどんぐり回収ボックスが設置されていました。どんぐりの寄付も受け付けているそうです。先日、子どもが集めたどんぐりの近い道に悩んでいた人向けのSNSがネットニュースになっていました。
お子さんがどんぐり拾ってきて、扱いに困ったことありますよね。奈良の鹿の餌になるのなら、集めてみようかな?
鹿より人の方がたくさん集まっていました(笑)。
修学旅行生といまならキャンペーンの効果か、奈良公園に観光客があふれ鹿もせんべいをたらふく食べていたのかもしれません。いまひとつ集まりが悪く、やってきたと思ったらホルンではなく鹿せんべいをもった観光客に鹿が集中。それはそれで和む光景です。
鹿寄せ以外でも言えることですが、あくまで鹿は野生動物。餌をじらしたり、しつこく追い回したりはNG。犬もトラブルのもとになるので、ご注意を。