
万博っていいですね…
ついに、ついに、自分の中で「これで最後」と決めた大阪・関西万博3回目の訪問。
開幕から半年以上経ち、日を追うごとに混雑がエグいことになっているのは百も承知。でも4~5月頃は「もうちょっと落ち着いてからでいいか」とか「全パビリオン完成してから」とか、のんびり構えていた自分が激しく恨めしい。
SNSに流れてくる「がら空きのアメリカ館」「誰も並んでないフランス館」の写真を見るたび、心の中で「うわあああああ!」と叫んでいた。もう取り返しがつかない。
しかも、万博は2025年10月13日に閉幕。総来場者数はなんと2,901万7924人(うち一般来場者約2,558万人)と、予想を上回る大盛況で幕を閉じたという。
後半に集中した「駆け込み需要」が全体の4分の1を占めたらしいけど、私たちもまさにその波に飲み込まれた一人。愛・地球博の来場者数(約2,204万人)を上回る快挙に、改めてその熱狂を実感する。そんな後悔を抱えつつも、万博に一度も行ったことがない高校生の子どもを連れて行くことにした。
大阪の高校に通っているので、学校経由で「子ども用入場券」を無料でもらえたのはラッキーだった。
子どもは最初「めんどくさい」って顔してたけど、電車に乗る頃には「どんな感じ?」と興味津々。親子で共有する「初体験」が、今回のハイライトになった。
悲劇の序曲 ~スマホ機種変更が引き起こした地獄の30分~
実は数日前にスマホを機種変更していた。
古い端末がもっさりしすぎてイライラしていたので「ちょうどいいタイミング」とばかりに新機種へ。夫に任せていたら「これで大丈夫だと思うよ~」の一言で安心しきり、自宅で5分触っただけで「まあいけるでしょ」と万博へ出発。
これが、後に「人生最大級の焦り」を味わうことになる火種だった……。データ移行のミスでアプリがまともに動かないなんて、想像もしてなかった。会場で青ざめる羽目に。
夢洲駅到着 ~テンションは最高潮!
中央線「次は終点、夢洲です」のアナウンスと、コブクロの曲が流れると車内が一気に浮き足立つ。
駅構内には巨大な阿部寛ポスター。心の中で「こんにちは」と挨拶しながら階段を上がる。
いつもなら空いている「駅構内トイレ」も、この日は大行列。通称「トイレパビリオン」。10分並んで用を足す。子どもが「トイレまで行列って本気?」と笑う中、万博の「現実」を早速味わう。
8:40 東ゲートから西ゲートへ徒歩移動

みゃくみゃく&こみゃくの可愛いイラストがあちこちに。シャトルバスに乗れば楽だけど、徒歩ルートでしか見られない景色を楽しむ派なので歩く。人工島の風が心地よく、未来都市みたいな開放感に子どもも興奮。
9:00 西ゲート到着

開門前からすでに長蛇の列。でも東ゲートよりはマシ。ゲート間バスを使ったおかげでここまではストレスゼロ。総来場者2900万人超えの影響か、平日なのにこの混雑……。9:30 西ゲート入場……のはずが
この日の入場ルート運が悪かったらしく、結局30分並ぶ。まあ許容範。
しかし、ここで最大の危機が!
スマホで万博公式アプリを開こうとしたら……ログインできない!
パビリオン予約どころか、入場QRコードすら表示できない!!
Wi-Fiはエリア限定&混雑で繋がらないのは知ってる。でもモバイル回線すら圏外ってどういうこと!?
列に並びながら冷や汗が止まらない。「機種変更したばっかりなのに……データ移行ミスった!?」とパニック。子どもが心配顔。
結局、前日に「念のため」とコンビニで印刷しておいた紙の入場券でなんとか入場。
前日の自分に土下座したいレベルで感謝した。
パビリオンの当日予約は、せっかく会場にいるのにスマホとにらめっこでいいことないのが前回前々回でわかったのでなし。空いてるところにどんどん入る作戦。
教訓:万博は紙チケット必須!
午前の部 ~数を稼ぐ作戦で小国&並び短パビリオンを攻略~
午前中は「体験より数!」の作戦。申し訳ない気もするが過去2回の経験から、心を鬼にして「早く次!」とせかすように短時間で回る。総来場者の多さで人気パビは後回しに。
9:40 シンガポール館(並び5分)
公式テーマは「Saving Lives(命を救う)」。DP Architects設計の窓のない球体「Dream Sphere」がシンボルで、高さ17mのファサードに17,000枚以上のディスクが輝く未来的デザイン。館内は植物豊かなトロピカル空間で、シンガポールの「スマートシティ」技術を体感。
入口で可愛いキャラクターうちわ配布。かわいいね~と並んでいた人同士で和む。体験は諦めてサクッと通過したが、緑の癒し効果で疲れが飛んだ。
感想:コンパクトながら「緑の未来」を感じる秀逸パビ。総来場者の多さで混むはずなのに、この日は空いてラッキー。
10:00 NULL(ウォークスルーモード・並び3分)

シグネチャーパビリオン「null²(ヌル²)」、テーマ「Forging Lives(命を鍛える)」。落合陽一プロデュースのインタラクティブ構造で、2~8mのボクセルグリッドに鏡のような膜が張られ、人々の身体をデジタル化して有機的に変形・対話する異世界。

アプリのポイントを鬼のように使っても当選ゼロ。くじも直前で締め切り。もう諦めていたのに、奇跡的にウォークスルーが空いていた!
子どもに「これがどれだけ奇跡かわかってる?」と熱弁しながらじっくり鑑賞。「色即是空」の文字、蝶の演出、耳に残る歌声……ぬるぬるした歪んだ鏡面が「自分」を溶かす感覚にゾクゾク。子どもは後日「一番印象に残った」と語っていた。本編体験はできなかったけど、アプリでAIを育てていたのもあって満足度は高かった。
SNSやYouTubeで追いかけていた最終日、盛り上がってたなぁ。
感想:デジタルアート好きにはたまらない。総来場者の中でも「体験型」の代表で、予約戦争の激しさが伝わる。
10:05 チェコ館

テーマ「Empowering Lives(命を力づける)」。Apropos Architects設計のらせん状木材構造で、ガラスファサードの内部に250mの巨大ムーラル(壁画)が広がるアート空間。
と知りマスコットのレネちゃんが強烈すぎるインパクトで、壁にはヒカキン、吉村大阪府知事、そしてなぜか石破茂元首相の「おばQ」サイン(笑)。ミュシャ好きの私は一気に親近感爆発。
屋上のビアガーデン風スペースでは朝からビールを楽しむ人がいて、「年パス持ちの近所民だったら毎日来たい」と本気で思った。子どもは「階段上るの疲れるけど、景色いい!」と屋上から夢洲を眺め満足。
感想:アートとビールのコンボが最高。総来場者の文化派に人気で、ゆったり回れるのが魅力。

10:15 トルクメニスタン館(並び3分)

テーマ「Empowering Lives」。渡航困難国として注目されたパビで、派手な外装が目を引く。
大統領肖像で出迎え、馬と犬の映像がメインのプロジェクションルームは座って鑑賞可能。
生活用品展示コーナーでは日本語教科書が並び、「こんな世界もあるんだな」と新鮮。靴や服のクオリティは正直「自分好みじゃない」けど、北朝鮮を彷彿とさせる独特の雰囲気。
日本語教科書を広げまくるおばちゃん集団や、展示物を小道具に自撮りする人たちを見て「民度……」と少し凹んだが、まあ多様な来場者が生むカオス。子どもは「馬の動画、かっこいい!」と動物パートに夢中。
感想:レア国パビの醍醐味。総2900万人の多国籍さに負けない異文化ショック。
10:33 ポルトガル館(並び3分)
テーマ「Empowering Lives」。隈研吾設計の浮遊ファサードで、海運廃材(ロープや漁網)をリサイクルしたエコ構造。
入口間違えてエッグタルトの行列に並びかける失態を、親切な女性に救われる。
館内は深海イメージの静かな空間で、長崎在住経験者の私には日本との歴史展示(ポルトガル航海術の影響)がジーンときた。ぶら下がるロープに「登らないで」の注意書き……やる人いたんだろうな(笑)。子どもは「海底みたいで落ち着く」とリラックス。
感想:サステナブルデザインの好例。総来場者のエコ意識派に刺さるはず。
10:45 ブラジル館(25分待ち)

アート&文化重視のType Aパビ。タイミング悪く15分休止が入り、実質40分近く待った……。
マント配布は終了で残念。手だけ白いペイントしたけど、後で服にべたべたついて後悔。内部はサンバのリズムを感じるカラフル展示で、子どもが「南米っぽい!」とノリノリ。
感想:待ち時間多めだが、熱気満点。総来場者のラテン派に人気。
11:30 中国館(実質50分くらい)


テーマ「Empowering Lives」。中国建築設計集団の巨大Type Aパビ。竹簡風外装に孔子格言と詩が刻まれ、金賞受賞。
最後尾札のお兄さんに「2時間半です」と言われたけど、並んでみたら案外早く進んだ。パンダが列にファンサービスに来てくれて癒し。

内部の円形モニターで中国風景が広がり、月の砂が普通に置いてあってビックリ。「もっと話題になっていいのでは?」と思った。子どもは宇宙パートに釘付け。最後にパンダしおりゲットで、村を救う?体験ゲーム的なものも。
感想:情報量の多さが圧巻。総来場者のアジア勢に大人気。
【昼休憩 ~そして午後へ~】
12:55 いのちの遊び場クラゲ館(さらっと)

シグネチャー「Playground of Life: Jellyfish Pavilion」、テーマ「Invigorating Lives!(命を活性化)」。中島幸子プロデュースの3層構造(地下含む)、クラゲをモチーフにした没入型展示。
園児・小学生の団体だらけでカオス。NULLの咆哮が響いてて笑った。子どもがちょこっと楽器などを試してみる。ただ、幼児がいると気分的にやりにくいので譲る。人多すぎて退場。
感想:子ども向けの遊び心満載だが、混雑時は厳しい。地下の楽器演奏聞いてみたかったなぁ。
13:00 水と空気のシンフォニー(5分間)
噴水ショーの昼バージョン。夜の青いライトアップは見逃したが、水しぶきと風のハーモニーが爽快。ベンチで軽食をとりながらマップと睨めっこ。午後の作戦会議で子どもと「次は涼しいヤツ!」と一致。
13:40 UAE館

テーマ「Empowering Lives」。90本の16m高列柱が2百万本のヤシの葉から作られ、ブロンズ賞受賞のサンドアート&武器展示。
疲れた時の救世主で、ほぼ並ばず。涼しいし、いい香り(お香?)でスタッフさんの丁寧説明が神。子どもは砂の質感に触れて喜ぶ。
感想:中東の豪華さが際立つ。総来場者のリピーター救済パビ。
14:00 ベトナム館

東南アジアの旅気分を味わう雑貨&文化展示。
水上人形劇の時間外だったけど、フォーやお土産風アイテムで気分UP。並ばずには入れるのもうれしい。子どもが「かわいい!」と雑貨コーナー徘徊。フードもお手頃。小規模で入れるところとしてはとても良い。
感想:外れなしの親しみやすさ。総来場者のアジア食欲を刺激。
14:10 NTT館(の外側の展示)
NTTスポンサーの通信パビ、ファブリック&カーボンワイヤーが触ると音を奏でるインタラクティブ。ストーリー性ある公衆電話や天地ワイヤーの楽器体験を子どもに任せ、私はトイレへ。後で「面白かった!」と報告。
感想:未来通信のワクワク。総来場者のテック好きに。
14:40 大阪ヘルスケアパビリオン(予約なしゾーン)

大阪府主催の健康テーマパビ、入場制限で3回目で入館。iPS細胞心筋シートを子どもに見せられてホッ。


手の汚れ観察トイレや人間洗濯機(機械のみ)、浮くスニーカー&植物服のファッション展示。腸内細菌検査結果は後日ウェブで確認(異常なし!)。

感想:地元プライドの医療未来。総来場者の健康意識向上に寄与。
15:05 ネパール館(自由ゾーンのみ)
7月19日開館の最後組、未払い費用で遅れ。
ヒマラヤ文化の雰囲気だけ眺め、歩くのもやっと。遅れて参加した分を、物販で取り返そうとしているのかな。よくわからないお祭りフードや似顔絵など。
感想:レア感強いが、短時間で。
15:45 西マーケットプレイスで遅めのランチ

フードエリアで冷やしかけうどん+おかやくご飯セット。梅干しが沁みたが、レジで金額ミス(高いメニュー料金払っちゃった……)。子どもはタンタンメンで「辛い!」と赤面。
小一時間休憩、水&電波ありのオアシス。大混雑の会場内でも、西の果てのここいらはまだ平和。
感想:混雑時の癒しスポット。
【午後の部 ~未来ゾーン&エンタメで締めくくり~】
16:40 フューチャーライフビレッジ
未来生活テーマのゾーン、林野庁の木工展示やプラスチック再利用、JAXAの宇宙コーナー。私は何度見てもわくわく。
感想:サステナブル未来の宝庫。総来場者のイノベ志向にマッチ。
17:10 アリーナでゴロ寝休憩

開放芝生広場、空広くて最高。大阪市町村PR動画を見ながらウトウト。子どもと寝転がり「疲れたね」と笑い合う。
感想:混雑逃れの隠れ家的存在。
17:45 WASSE(水素社会パビリオン)(10分待ち)

水素エネルギー展示、作り込み映像で子どもも理解。ブース自由見学で月面探査機に興奮。「自動車はもうすぐ水素当たり前」と実感。
感想:クリーンエネルギーの希望。総来場者の環境派に。
どんなに混雑していても、静かでほっとできる場所。閉幕後もそのまま残されるとか。
18:30 花火

吉本ステージ前にいて、タレントさんが「みんなで一緒に見よう」と言っていたのに、聞こえるのは音ばかり。苦笑が漏れる。リング内側移動で10分間ドカン! お祭りムード全開。子どもが「わー!」と大喜び。
感想:夜のハイライト。
18:40 よしもとステージ

20mの「笑顔の球体」パビ、外ステージでカラオケ盆踊り3曲参加。知らない人たちと輪になって踊るの、めっちゃ楽しい。ほかの参加者に「めっちゃノリノリですね!」と声掛けされる。祭りは参加して初めて祭り。って落合さんも言ってたし!
感想:エンタメの王道、ごちゃまぜ万博らしさ。
19:05 インド館
テーマ「Connecting Lives」。蓮の花外装に7万LED、仏教モチーフのチャクラ碑。通りがかり空きでウォークスルー。
スタッフの「インドより空いてますよ~」ジョークに爆笑。疲れ知らずの明るい呼び込みに感動。宇宙の展示が意外な感じ。時間があったらインド雑貨お土産みたいなと後ろ髪惹かれつつ退場。
感想:スピリチュアル&テック融合。総来場者のインド熱高し。
19:15 スペイン館

テーマ「Connecting Lives」。黒潮海流モチーフのデザインでシルバー賞。
昼大行列だったのに夜ガラガラ、フラメンコ生ライブを間近で! 情熱的なダンスに癒され、子どもも「カッコいい!」と拍手。館内の海の展示にゆったりとした気分に。子どもも興味深そうにしてた。
感想:安定のヨーロッパ癒し系。
19:28 大阪プロレスステージ
ごちゃまぜリングで時間と体力あればじっくり見たかった……。このカオスが万博の真骨頂。最近ちょっとプロレス見始めたから、気になる。しかし、フラメンコの次にプロレスとは。万博ってなんでもありですね。万博寺もあったことだし。懐広すぎる。
帰路
東ゲートから退出。歩きながらドローンショーを眺める。
地下鉄乗り場手前でショーが終わったけど、混雑ピーク前に乗れてラッキー。
15分後には親子で座れて、夢洲駅を後にした。子どもがまずまず満足そうな様子が、嬉しかった。
最後に ありがとう、大阪関西万博
3回目にして、やっと「やりきった感」を味わえた万博。総来場者2900万人超のスケールに圧倒されつつ、最初は「もう行かなくていいかな」と思っていたけど、子どもと一緒に回ってみて、やっぱり来てよかった。
あの独特の熱気、いろんな国の人たち、未来を感じる展示、全部が「ここでしか味わえない」ものだった。スマホの悲劇も、良いネタになったし。2025年10月13日で閉幕。
もう二度と来られないんだなと思うと、ちょっと寂しい。でも、行けただけでも本当に幸せだった。
ありがとう、大阪・関西万博。
そして、子どもと一緒に過ごせた最後の1日、最高の思い出になりました。次は横浜万博かな?


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